星川杉山神社

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宮司さんのおはなし 第2回

メキシコで発生した新型インフルエンザがついに日本にも上陸し、社会を騒がせています。突然に猛威を振るい始めたこの新たなウイルスに、大きな不安を抱いている方も多いことでしょう。

神道では、人は生きていくうえでさまざまな“穢れ(ケガレ)”を受けると考えます。心身が穢れると、大気中に漂う細菌やウイルスに感染したり、社会での人間関係において誰かを傷つけてしまったり、逆に傷つけられたりしやすくなります。みなさんにも、最近どうも風邪を引きやすいとか、うまくいかないことが多いなと思うことがあるのではないでしょうか。 普通に生活していれば、こうした穢れは知らず知らずのうちに身についてしまうものです。ですから、それ自体を悪いことだと捉える必要はないのですが、受けてしまった穢れをそのまま放っておくのもよくありません。

なぜなら、穢れは決してよいものを生み出さないからです。心身に蓄積した穢れはやがて人々から生きる希望や元気を奪い、社会に悪い影響を及ぼすようになります。そこで神道では、こうした穢れを祓い清めるために、年に二度『大祓(オオハラエ) 』という神事を行うことを伝統としてきました。

六月に行われる『夏越大祓(ナゴシノオオハラエ)』では、一月から六月の半年間に受けてしまった穢れを祓い、一年の折り返し地点を再び清らかな心と体でスタートできるよう願います。 人形(ヒトガタ) や切麻(キリヌサ)などに穢れを移し、天上地上に鎮座される多くの神さまのお力を頂いてそれを祓い清めるこの神事には、無病息災や心願成就の御徳もあるといわれています。ぜひみなさんも参加されてみてはいかがでしょうか。

私たち神職に就く者は、こうした神事やお参りにいらっしゃる方々との触れ合いを通して、みなさんがまず気持ちの面で明るく健やかになられることを願います。

先日も、ある年輩のご婦人が「後ろに何か悪いものが憑いている気がするので祓ってほしい」と神社にいらっしゃいました。見れば表情は暗く、終始目を伏せておられます。声がみな下へ向かってしまうので、ご婦人の言葉も私の言葉もお互いに届きません。 そこで、誰に対してもまずは目を見てお話ししてください、そうすれば相手と心が通じるようになりますよとお話しし、いま思っていることをすべておっしゃってみてくださいとお願いしました。するとご婦人は、気持ちが鬱々として毎日が楽しくない、と言われます。そして年々体力が衰えていくことへの不安や、ご主人を早くに亡くされ、結婚された息子さんとも離れてひとり暮らしをされていることの孤独感などを正直に話してくださいました。

やがて、ご自分の思いをお話しされたことで気持ちが楽になったのでしょうか、会話を続けるうちにご婦人のお顔から笑みがこぼれるようになりました。私が「そうそう、その笑顔が大切なんですよ」と励ますと、お祓いを受けて帰られる頃にはすっかりお元気になって「これからがんばります」と明るい言葉を聞かせてくださいました。 これは、ご婦人がおっしゃっていた「悪い憑きもの」が落ちたせいではありません。人は知らず知らずのうちに自らのなかに穢れを溜め込み、自分で自分の心を傷つけてしまうことがままあるのです。

人々が清らかさを取り戻し、みなが明るくすがすがしい心と健やかな体を持って明日へと向かうことができれば、悪い事件や争いごとは減り、世の中もよくなっていくでしょう。 すべては人の“心”から始まるのです。

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