星川杉山神社

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宮司さんのおはなし 第18回

10月に入り、秋の気配が色濃く感じられるようになってまいりました。季節の区分法として知られる『二十四節気』によれば、10月23日は『霜降(ソウコウ)』。草木に宿る露が凍って霜が降り始める頃、とされています。木々が紅葉し始める頃でもあるので、行楽へ出かける予定を立てていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

近年の異常気象のせいで実感しにくいかもしれませんが、暦のなかには四季の変化を上手に表した言葉が数多く見られます。1月を『睦月(ムツキ)』、2月を『如月(キサラギ)』と呼ぶ和風月名にも、皆で仲良くお正月を祝う“睦び月”(1月)、草木が再生して芽を張り出す“草木張り月”(2月)といった意味があり、昔の人々が暦を暮らしの行動基準として活用していたことがわかります。特に農業や漁業に携わる人々にとって日の出日の入りや潮の満ち引きの時刻までがわかる暦は、生活になくてはならない重要なものでした。

映画『天地明察』をご覧になった方はご存じかもしれませんが、日本で初めて暦が作られたのは江戸時代、天文学者の渋川春海が開発した『貞享歴(ジョウキョウレキ)』でした。これは、それまで用いていた中国由来の暦から経度差による誤差を正した日本独自の暦法で、月の満ち欠けを1カ月の周期とする太陰太陽暦(旧暦)をもとに作られています。以来、明治5年にグレゴリオ暦(太陽暦、西暦)が採用されるまで、日本の暦はずっと太陰太陽暦を月日の基準にしていました。さらにここへ『暦注(レキチュウ)』と呼ばれる『六曜(ロクヨウ)』『十二直(ジュウニチョク)』『二十八宿(ニジュウハッシュク)』などを組み合わせ、月日の吉凶までをも判断していたのです。

『六曜』は日の吉凶を先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の6種類に分けたもので、現代社会にもしっかりと根付いています。『仏滅』があるために仏教の考え方と思われがちですが、昔は「物滅」と書いて「あらゆる物事が滅びる凶日」とされていました。『友引』も元来は「共引」で「何事も引き分けとなる勝負のつかない日」。「友を引く」という意味を持つようになったのはその後のことです。

また、六曜ほど浸透してはいませんが、星の動きをもとにした『十二直』や月の位置をもとにした『二十八宿』でも日々の吉凶を占うことができます。毎年神社でお配りしている暦には、その日の六曜、十二直、二十八宿が一覧で記載され、その意味も欄外に書かれていますので、興味のある方はぜひご覧になってみてください。ただ、これらはそれぞれ個別の基準を持つ吉凶判断であるため、すべてが一致する吉日というのは滅多にありません。私は、まず六曜を基本に、他の2つは参考程度に解釈すればよいと考えています。気にしすぎると何もできなくなってしまいますから、「最悪でなければよしとする」くらいの気持ちでいることが大切です。六曜では午前・午後など時間帯による吉凶、十二直や二十八宿では縁談、建築、事業など分野別の吉凶がわかるようになっているので、行動に合わせて使い分けてみてもよいかもしれませんね。

こうした吉凶判断については、まったく気にしない方がいらっしゃる一方で、非常に気にする方も多くいらっしゃいます。当社でも結婚式や地鎮祭の日取りなどに関してお問い合わせをいただくことが多々ありますので、次回はそうしたお問い合わせのなかから代表的な質問を選び、お答えしてみたいと思います。日々の生活に、行動に、暦をどう活用するか。その参考にしていただければ幸いです。

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