星川杉山神社

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宮司さんのおはなし 第6回

風薫る季節となりました。この春に入学、進学した子供たちもそろそろ新しい環境に馴染み、 親御さんもほっとひと息つかれている頃ではないでしょうか。 しかし、そんな子供たちの成長を見守る喜びがある一方で、社会では虐待事件やいじめ問題、 若年層による犯罪など、彼らを取り巻く不幸なニュースが後を絶ちません。 こんな時代に、どうすれば我が子をしっかり育てられるだろうかと不安に感じる方も多いことでしょう。 そこで今月は今回から2回にわたり、“健やかな子育て”をテーマにお話ししたいと思います。

子供を持たれる方と神社との関わりは、出産前の安産祈願から始まり、お宮詣り、七五三、勧学祭……と長い期間にわたって続いていきます。 勧学祭とは小、中、高、大学への入学の節目に行うお祀りで、特に女児の中学、 大学への勧学祭は初潮を迎える時期と最初の厄年に重なるため、大切なお祀りとなります。 また男児にとっても思春期に受験が重なることで心的ストレスの増す時期ですから、 やはり神さまのご加護を受けて新たな門出を迎えられたことにきちんと感謝することが大切です。

さて、若いうちに結婚して大勢の子供を産むことを奨励された時代と違い、 いまは1人か2人の子供を計画的に産もうと考える方が多いようで、 安産祈願やお宮詣りにいらっしゃる方々の年齢層も昔に比べて高くなりました。 だいたい30代以降で初めての子供を持ち、「大切に、手をかけて育てたい」と考える方が多いようです。 ただ、そのために“健やかな子育て”とは別の方向へと進んでしまう例も少なくありません。

たとえば、絶えず大人に見守られている子供には息抜きをする暇がありません。 子供にも窮屈さを感じる心はありますから、そういう子供は反抗期に入る時期が早くなります。 また食べ物に不自由することなく、親が何でも与えてくれる生活をしている子供には、 自分で工夫して欲しいものを手に入れようという“知恵”もなかなかつきません。 さらに最近では好き嫌いを容認され、嫌いなものは一切食べないという子供も多いようですが、 食べ物のかたよりは考え方のかたよりを招きます。 そしてこうしたかたよりはやがて、性格のかたよりやゆがみにまで発展してしまいます。

昔は、子供といえば一日中外で遊び、砂遊びで泥んこになったり、野山を駆けめぐって昆虫を捕ったりしていたものでした。 蝶もセミも最初はうまく捕まえられませんが、何度も失敗しながら次第に要領を会得し、 同時に生命の尊さも自然に学んでいきます。しかし砂場は汚い、公園は危ない、 虫は気持ち悪いという親の管理下に置かれたいまの子供には、自分自身で物事を覚えたり感じたりする機会も激減してしまっています。

親御さんにしてみれば、安全に、不自由な思いをさせずに育てたいという一心なのでしょう。 しかし“子供に目が行き届き過ぎている”子育ては、健やかな子育てとはいえません。 何事も“過ぎる”のはよくないのです。

「三つ子の魂百まで」というように、幼少期の過ごし方は子供の人格形成にとても大きな影響を及ぼします。 健全な教育とは、子供を管理することでも、子供に気を遣うことでもありません。 物質的、経済的に豊かな時代だからこそ、みなさんおひとりおひとりが教育の原点に立ち戻り、 健やかな人間を育てるためにすべきことを考え直すべきなのではないでしょうか。 ご奉仕を通して多くの方のお話を伺いながら、私はよくそんな風に思います。

では、真に実りある教育を行い、健やかな子育てをしていくためにはどうすればよいのでしょうか。 親は子供にどう接し、何を教えればよいのでしょうか。次回は、そうしたことについてお話ししていきたいと思います。 これからの社会を担う子供たちの健やかな成長を願い、ともに考えていきましょう。

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